大人になるにつれて、忘れてしまっていること
私は子供の頃、親に対してこんなことを思っていました。
「大人は子供の気持ちなんて全然わかってない」と。
「宿題やりなさいって言われると逆にやる気無くなるんだよな」とか。
「どうして私だけ、友達同士で遠くに出かけちゃいけないの」とか。
反抗期の頃は、よく親の言うことに反発していました。
「いつか私が大人になった時は、絶対に子供の気持ちのわかる大人になれる!」と思ってました。
その時は、子供がされたら嫌なことや、して欲しいことがよくわかっていたからです。
でも実際大人になってみたら、どうでしょう。
自然と子供に「こうしなさい」「ああしなさい」と、大人の目線だけで言ってしまっていませんか?
私は今ピアノの先生をしています。
幼稚園児~小中学生の子供たちに、ピアノを教えているのですが、あれだけ子供の頃に散々感じた「子供の気持ち」が大人になった今、しっかりと思い出せなくなっている事に気付きました。
「子供の頃」をちゃんと経験しているはずなのに、子供の気持ちになって物事を考えることが出来ないのです。
大人には大人の都合があり、大人の考え方があります。
大人になるにつれて「失敗」や「後悔」など、様々な経験をしていきます。
そうしていく内に、「子供の頃の気持ち」は、自然と忘れていくように出来ているのです。
子供の頃に子供の気持ちを経験しても、大人になると忘れてしまうから、大人は子供の気持ちが分からないのです。
これは当たり前の事ですが、よく考えてみると、不思議に思えませんか?
私は子供の頃に思っていた疑問が、大人になってようやくわかりました。
だから多くの大人が育児や子育てにつまづくわけで、私自身も子供にレッスンする時、どうしたらいいか悩む時もよくあります。
でも、「子供の気持ちを理解しようとすること」は、
大人が子供とコミュニケーションを取るためにとても重要なことだと思います。
子供の気持ちを、大人はもう理解できません。
子供の頃の気持ちなんて忘れてしまっているから。
ですが、忘れてしまった分、思い出す努力をしなければいけないと思います。
なんて、まだ自分の子供を産んでも育ててもない、まだ大人になりたての私が言うのもおかしい話ですが、「ピアノの先生」という職業を通じて、大人が子供と向き合う難しさをとても感じました。
「なんで子供の気持ちをわかってくれないの?」と、私が両親に思っていたように、私もまた、自分の子供が出来たら、同じことを言われてしまうかもしれません。
こればかりは仕方のないことですが、子供の頃の感情を大人になっても100%思い出せれば、こんなに苦労しないのになと思います。
もし今、子供と向き合う機会のある方は、
ぜひ「自分が子供の時に思った気持ち」を思い出してみてはいかがでしょうか。
なにか特別なヒントが得られるかもしれません。